著者: 安藤広大 タイトル: とにかく仕組み化

こんな人におすすめ
* 組織を率いる立場にある経営者、中間管理職、チームリーダーの方
* 将来リーダーを目指す若手社員やプレーヤーの方
* 個人の努力に依存せず、持続的に成果を出せる組織を作りたいと考えている方
* 「個の時代」と言われる現代社会で、組織における個人の役割に悩んでいる方
* 仕事や日々の行動を効率化し、継続的な成長を望む方
「会社って、結局、人と人との関係でしょ?」そう思っていませんか?
もちろん、人間関係は大切です。
でも、もしその考え方が、あなたの、そして会社の成長を阻んでいるとしたら?
今回は、一流の組織が実践する「比較と平等」の真髄に迫り、誰もが納得し、成長できる環境をいかにして作るか、そのヒントをお届けします。
人は比較する生き物、だからこそ「見える化」が必要
私たちの日常は、常に比較に満ちています。
ラーメンの美味しさを測るのも、人を好きになるのも、過去の経験との比較から生まれます。
この「比較」という人間の本能を無視して、「競争させない」という表面的な平等を作り出すのは、むしろ不健全であると筆者は指摘します。
営業の売上を公開したり、それぞれの相対的な位置を明確にしたりすることで、自然と「当たり前」の基準が上がり、危機感が生まれる。
この「事実を直視させる仕組み」こそが、成長の第一歩だというのです。

言われてみれば、確かにそうですよね。
「人と比べても仕方ない」って口では言いつつも、本心ではみんな気になるもの。
だったら、いっそのことオープンにして、そのモヤモヤを成長の原動力に変えるというのは、とても納得感があります。
隠すよりも、クリアにした方が、かえって健全な競争が生まれる気がします。
「成長したい人」を基準に組織をデザインする
「人と比べたくない」という声に耳を傾けすぎて、「隠すような忖度」をしてしまうと、かえって頑張る人のモチベーションを下げ、頑張らない人に安心を与えてしまう。
筆者は、「成長したい人」を基準に判断し、彼らの成長機会を奪わないことが重要だと説きます。
そのためには、「暗黙知」をなくし、仕事ができる人の成功パターンを「マニュアル」として共有することで、誰もが学べる環境を整えるべきだと強調しています。

これは耳が痛い話です。
私もついつい、全員に気を遣ってしまって、「この人は〇〇が苦手だから…」と特別扱いをしてしまうことがあります。
でも、それが結果的に、その人の成長の機会を奪っていたのかもしれないとハッとしました。
「頑張っている人が報われる」仕組みを徹底することは、組織全体の活性化にも繋がりますね。
「全体の利益」を優先し、感情ではなく「仕組み」を見る
個人の感情や目の前の困っている人に寄り添いすぎると、組織全体の利益を損なう判断をしてしまうことがあります。
筆者は、「会社での役割」と「人間同士の役割」を明確に区別し、常に「全体の利益」に目を向けることの重要性を説きます。
これは、「人を見る」のではなく「仕組みを見る」という考え方の本質であり、平等な判断を下すために不可欠な視点だと述べられています。

これは本当に難しいテーマだと感じます。
情に流されやすい私にとっては、常に意識しないといけない部分です。
特に、部下の降格などの厳しい判断を下す際には、感情に引きずられず、会社の成長や全体の利益という大局的な視点を持つことが、いかに重要かを改めて認識させられました。
「差があること」はメリット。頑張りが報われる「真の平等」を追求する
「平等」とは何か? この問いに対する筆者の答えは、「頑張った人に報いるのが、本当の平等」というものです。
年功序列のような、努力と関係ない一律の基準は、頑張る人の意欲を削ぎ、会社を去らせてしまうリスクをはらんでいます。
明確な基準で差を設けることで、評価されなかった人も「負けたことを正しく認識し、次こそは頑張ろう」という危機感と成長意欲を持つことができる。これが、会社全体の生産性を高める「平等」だというのです。

「平等」という言葉の解釈が、いかに間違って伝わっているか痛感しました。
「みんな仲良く同じように」という意識が、実は成長の機会を奪っていたんですね。
成果を出した人が正当に評価される、そして、そうでない人も「次こそは」と前向きになれる仕組みは、まさに理想の姿だと思います。
「マイナス評価」は成長への「必要な恐怖」
降格や降給といったマイナス評価は、一見すると冷たく残酷に思えます。
しかし、明確なルールに基づいた評価であれば、当事者はそれを納得して受け入れ、自身の行動を必死に改善しようと試みる。
結果として、数年後に見違えるほどの急成長を遂げるケースは少なくないという。
筆者は、曖昧な評価で成長の機会を奪うことこそが「はるかに残酷」だと断言しています。

正直、マイナス評価を下すのは気が引けますが、それが長期的な成長に繋がるのであれば、リーダーとして必要な「責任」だと感じました。
一時的な痛みはあっても、最終的にその人のためになる。この考え方は、今後のマネジメントに活かしていきたいです。
「仕事そのものの悩み」に集中できる環境こそが幸せ
仕事の悩みの多くは、「競争がつらい」からではなく、「人間関係の悩み」から生じると筆者は指摘します。
派閥や好き嫌いで物事が決まる属人的な組織では、人は離れていく。
人間関係の悩みがなく、ただ「どうすればもっと売れるだろう?」「どうすれば成果が増えるだろう?」と、仕事そのものに集中できる環境こそが、働く人にとって最大の幸せなのだと結んでいます。

まさにその通りだと思いました。
私もこれまで仕事の悩みを抱えた時、そのほとんどが人間関係によるものでした。仕事そのものに集中できる環境は、ストレスも少なく、結果として生産性も高まりますよね。
「降格・人事異動」は未来を見据えた成長戦略
降格や降給は、その人の可能性を最大限に引き出すための「仕組み」であると筆者は説きます。
成果が出ない状態が続くのは、本人にとっても組織にとっても不幸なこと。
一時的に降格しても、別の部署で新たなスキルを身につけ、結果的に優秀な管理職へと成長するケースは少なくないといいます。
また、3年に一度の人事異動や配置換えも、属人化を防ぎ、常に新しい視点と試行錯誤を促すことで、個人の成長と組織全体の活性化に繋がると強調しています。

降格や人事異動に対して、ネガティブなイメージを持っていましたが、こうして「仕組み」として捉えると、長期的な視点での人材育成の一環なのだと理解できました。
変化を恐れず、常に最適な配置を考えることが、リーダーの重要な役割だと再認識しました。
「モチベーション管理」は不要。結果だけを見て、行動を促す
マネージャー層ができる「平等」のための仕組みとして、筆者は「モチベーション管理をしない」「結果だけを見る」「プロセスを見ない」という3つの機能を挙げます。
褒美で釣ったり、言い訳を聞いたりするのではなく、「次、どうする?」と具体的な行動を引き出すことに集中する。
部下との適切な距離感を保ち、結果にフォーカスすることで、部下の自律的な成長を促すことができると述べられています。

「褒めて伸ばす」という考え方が浸透している中で、「プロセスを見ない」というのは、かなりの印象深いです。
しかし、結果を出せないのに過程を褒めると、行動を変えなくなってしまうという指摘は、確かにその通りだと感じました。
部下の成長のためには、時には厳しく、しかし機械的に結果にフォーカスすることが必要なのだと学びました。
本日のまとめ
今回のブログでは、「比較と平等」というテーマを通して、組織の成長を促すための「仕組み」の重要性を深く掘り下げてきました。
人は常に比較する生き物だからこそ、その本能を逆手に取り、透明性の高い評価基準を設けることで、健全な競争と成長を促すことができる。
そして、感情に流されず、「全体の利益」と「仕組み」に目を向けることで、真の平等を実現できるということが、繰り返し強調されていました。
「頑張った人が報われる」「マイナス評価も成長の糧となる」「仕事そのものに集中できる」といった環境を整えること。これこそが、組織が永続的に成長し続けるための秘訣であり、リーダーに求められる覚悟と責任なのだと強く感じました。
あなたの会社は、本当に「平等」な環境でしょうか?
もし少しでも疑問を感じたら、今日お伝えした「仕組み」の考え方を、ぜひ日々の業務に取り入れてみてください。きっと、組織の景色が大きく変わるはずです!

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