著者:北野唯我 | タイトル:転職の思考法

こんな人におすすめ
- 今の会社でこのままで良いのか漠然と不安を抱えている
- 転職を考え始めたけれど、どう動けばいいか分からない
- 自分には特別なスキルがない…と自信を失っている
- 将来、会社に頼らず生きていける力をつけたい
- 長期的なキャリアの軸がなく、進む方向に迷っている
そんな思いを抱えているなら、『転職の思考法』はまさにあなたのための1冊です。
前回の記事では、仕事の「寿命」と市場価値の正体、そして「業界選び」がキャリアにおいていかに重要かを学びました。
さて今回は、「じゃあ、どうやって市場価値を高めていくの?」という問いに真正面から答える、非常に実践的な回です。
キーワードは、「ピボット型キャリア」
この考え方を知ることで、会社に依存しない、どんな時代でも食べていける力が少しずつ見えてきます。
物語では、主人公・青野さんが会社の商品に疑問を感じる中、上司からの裏切り、そしてキャリアに対する価値観を揺さぶられる黒岩さんの課外授業を通して、大きく成長していく姿が描かれます。
読めば読むほど、自分の人生を「他人任せにしていたかもしれない」とハッとさせられる章です。
「強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットすること」
自分の強みを活かしつつ、これから成長する業界へ少しずつキャリアをスライド(方向転換)させていく方法です。
物語では、青野さんが黒岩さんの「課外授業」で廃業寸前のホテルに連れて行かれ、現場の空気を直に体験します。
ここで描かれるのは、「変化に対応できなかった会社と従業員の末路」です。
黒岩さんは、「会社が潰れるのは社長のせいだけじゃない」と言い放ちます。
変化のチャンスを掴まず、努力もせず、文句ばかり言ってきた社員の姿を「市場価値ゼロ」と断言。
そして、「他人が作った船に乗って文句ばかり言うな」というメッセージは、まさに現代社会で生きる私たちに突き刺さる言葉でした。
そのうえで黒岩さんは、これからの時代を生き抜く「最強のキャリア戦略」としてピボット型キャリアを提示します。
ピボットとは、バスケットボールやビジネス用語でよく使われる「軸足はそのままに方向を変える」戦術のこと。
つまり、自分の強み(経験・スキル)を軸にしつつ、それを活かせる成長分野にスライドしていくのです。
「波が消える前に次の波に乗れ」。これがこの戦略の本質。
そして、その次の波を見つけるための2つの方法が提示されます。
方法①:成長中のベンチャー企業に注目する
→ 成長市場には必ずベンチャーが集まる。転職サイトで「設立3年以内」「資金調達中」などのキーワードで調べると、チャンスが見つかる。
方法②:業界の非効率を突いた「ロジック」を見つける
→ 誰もが良いと思うものに価値はない。
本当に価値があるのは「まだ誰も注目していない非効率さに立ち向かっている」企業。
その視点を持つことが重要。
つまり、「伸びる業界に移る」だけでなく、「自分の考えでチャンスを見つけに行く」ことがカギになるのです。
物語の終盤では、青野さんが信頼していた上司・上山の裏切りを知ります。
「転職を考えていることを密告され、自分が左遷候補にされていた」という事実を突きつけられ、愕然とします。
でもこの出来事が、彼に「もう自分の人生を誰にも任せられない」と気づかせる大きなきっかけとなるのです。
読んでみた感想
「信じてた上司に裏切られる」「会社の商品に意味を見出せない」「努力しないまま沈む会社と従業員」
──どれもフィクションとは思えないリアルさで、自分の働いている会社や人間関係にも重ねてしまいます。
でも、だからこそ深く刺さりました。
「会社がなんとかしてくれる」時代は終わった。
「会社に尽くしていれば報われる」なんて保証はどこにもない。
そんな当たり前の事実を、ズシンと突きつけてくれる内容でした。
特に「ピボット型キャリア」という考え方は、私のような凡人にとっての最強の戦略かもしれません。
すごい才能がなくても、「強み+伸びる市場」に自分をポジショニングできれば、生き残れる可能性はグンと上がる。
これは希望でもあるし、行動の指針にもなります。
本日のまとめ
- ピボット型キャリアとは、「自分の強みを軸にしながら、成長市場へスライドしていく戦略」
- 成長市場を見つけるには、「ベンチャー企業の動き」や「業界の非効率へのアプローチ」に注目
- 組織に頼りすぎず、自分の人生を選び取る覚悟が求められる
- 「信じていた人に裏切られる」「誰も助けてくれない」状況もある。そのとき、自分の市場価値が試される
- 会社の看板ではなく、自分の価値で食べていく。
その一歩を踏み出すための、ヒント満載の一章でした。

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