著者:北野唯我 | タイトル:転職の思考法

こんな人におすすめ
- 今の会社でこのままで良いのか漠然と不安を抱えている
- 転職を考え始めたけれど、どう動けばいいか分からない
- 自分には特別なスキルがない…と自信を失っている
- 将来、会社に頼らず生きていける力をつけたい
- 長期的なキャリアの軸がなく、進む方向に迷っている
そんな思いを抱えているなら、『転職の思考法』はまさにあなたのための1冊です。
本日も読んでいただきありがとうございます。
今回は北野唯我さんの著書『転職の思考法』の第3章をご紹介します。
これまでの章では、市場価値や会社選びの基準、組織のリアルについて掘り下げてきました。
主人公・青野さんは、自分のキャリアと真剣に向き合い、不正に立ち向かうという大きな経験を経て、少しずつ「自分の人生をどう生きたいか」を見つめ直しています。
そして迎える第3章――ついに転職活動が本格化…と思いきや、ここで彼の心に新たな「迷い」が生まれます。
そしてその迷いは、仕事やキャリアの話にとどまらず、「人間関係」や「感情」といった、もっと深くて切実なテーマにまで及んでいきます。
読むと胸が苦しくなるほど、リアルで繊細なやりとり。
今回はまさに、キャリア選択の人間くささが凝縮された内容になっています。
キャリアの迷いと人との関係
第3章では、転職活動が進む中で主人公・青野の心に生まれた葛藤と、その背景にある人との関係がテーマです。
社内改革プロジェクトを成功させた青野は、職場の雰囲気が改善しているのを実感し、「このまま今の会社に残るのもアリかもしれない」と感じ始めます。
そんな時、キャリアアドバイザーの黒岩に相談すると、彼は「それは誰もが通る迷い」だと言い切り、冷静に青野を現実へ引き戻します。
黒岩はこう言います。「会社は変わったように見えても、根本的な構造は何も変わっていない。改革によって延命できたとしても、それが青野自身の価値(マーケットバリュー)を上げるわけではない」と。
さらに重要なのは、「給料と市場価値のギャップ」は、40代後半になるまで誰も気づかないという現実。
目先の収入よりも、将来にわたって価値を上げ続けられる環境に身を置くべきだと説きます。
そんな中、プロジェクト打ち上げの場で、若手女性社員から「もっといい会社に行くべき」と声をかけられた青野は、「自分が会社にいなくても回る」という事実に向き合います。
同時に、自分を過小評価していたことにも気づき、ついに転職への決意を固めます。
しかし、ここで大きな壁が立ちはだかります。――それは、恋人への報告です。
彼女は突然の報告にショックを受け、ベンチャー転職による不安やリスクに反対。
しかも、これまでのキャリアの悩みを「一人で決めていた」と不満をぶつけます。
結果、ふたりは別れを選びます。
その出来事を受けて黒岩が語ったのは、「感情の共有」の大切さ。
転職の決断を伝えるには、3つの要素が必要だと言います。
- ロジック:給料減や失敗リスクを超える価値があること
- 共感:相手の視点に立ち、不安や気持ちを理解しながら伝えること
- 信頼:最も情報を持つ当事者の決断を信じてもらうこと
つまり、パートナーに反対された時に必要なのは「説明力」ではなく「信頼関係」であり、特に共感が欠けていると、どんな正論も届かないのです。
読んでみた感想
会社の状況が良くなりつつある中で「残ろうかな」と迷う青野さんの気持ち。
分かりすぎるほど分かりますよね。
人って、ちょっとした改善や人間関係に救われたくなるもの。
でも、黒岩さんの「それは幻想」という一言は、愛のある厳しさだと感じました。
そして、給料と市場価値のギャップについての話。
「今の給料が高いから安心」という思い込みが、後々の大きなリスクになるという現実にはドキッとさせられました。
実際、転職市場では今の会社での評価と社会での評価が一致しないことなんてザラですよね。
また、若手社員からの「もっといい会社に行くべき」という言葉は、涙腺に来ました。
会社は個人に情を返してくれません。
でも、こうやって「あなたは他でも通用する」と認めてくれる人が一人でもいたら、前に進む勇気になるんだなと、強く感じました。
そして何より印象に残ったのが、彼女との別れ。
「転職って、ひとりで決めるものじゃない」と、改めて気づかされました。
キャリアの決断は人生そのもの。
だからこそ、身近な人と共有するプロセスが欠かせないんですよね。
自分を守るために言わなかったことが、相手を傷つけてしまう。
その痛みはリアルで、胸が締めつけられました。
黒岩さんが教えてくれた「ロジック・共感・信頼」のフレームワークは、まさにキャリアだけじゃなく、パートナーシップ全体に通じる考え方。
「共感の欠如が信頼を壊す」。
この視点は、今後どんな場面でも大事にしていきたいと感じました。
本日のまとめ
- 転職の迷いは誰にでも訪れるが、「最初の目的」に立ち返ることが大切
- 改革が起きても、会社の根本構造や自分の市場価値はすぐには変わらない
- 目先の給料よりも「未来のマーケットバリュー」が重要
- 転職は自分ひとりの問題ではなく、大切な人との信頼関係が問われる
- パートナーに説明するときは、「ロジック・共感・信頼」の3点セットが必須
キャリア選択は、スキルだけでは乗り越えられない。
誰と、どんな想いを共有できるかが、人生の質を左右する。
第3章はそんな深いテーマを突きつけてきました。
本書を読んで、あなたの転職やキャリアに対する考え方が深まることを願っています。
次回もお楽しみに!

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