著者:北野唯我 | タイトル:転職の思考法

こんな人におすすめ
- 今の会社でこのままで良いのか漠然と不安を抱えている
- 転職を考え始めたけれど、どう動けばいいか分からない
- 自分には特別なスキルがない…と自信を失っている
- 将来、会社に頼らず生きていける力をつけたい
- 長期的なキャリアの軸がなく、進む方向に迷っている
そんな思いを抱えているなら、『転職の思考法』はまさにあなたのための1冊です。
『転職の思考法』から学ぶ、これからの時代を生き抜く「考え方のOS」
北野唯我さん著『転職の思考法』、この本は単なる転職ノウハウ本ではありません。
これからの時代を自分らしく、そして力強く生き抜くための「考え方のOS」をインストールしてくれるような一冊です。
物語形式で進むので、まるで自分が主人公と一緒にキャリアの迷路を冒険しているような感覚で、スッと内容が入ってきます。
中でも今回フォーカスするのは、第4章「仕事はいつから『楽しくないもの』になったのだろうか?」です。
ここは、多くのビジネスパーソンがぶつかる「仕事の楽しさ」や「やりがい」という、キャリアの核心に迫る、まさに神回。
「やりたいことなんてないし…」と諦めかけている人にこそ、読んでほしい。
きっと、読み終える頃には、目の前の霧が晴れて、進むべき道筋が見えてくるはずです。
「仕事はいつから『楽しくないもの』になったのだろうか?」
この章で主人公は、転職活動を進める中で「仕事の楽しさとは何か?」という根源的な問いに深く向き合っていきます。その思考の旅路は、私たち自身の悩みに重なります。
仕事は「手段」か「目的」か?
主人公は、転職先の候補として3つの会社と面接します。
その中で特に印象的だったのが、あるIT企業の面接官でした。
彼は、自社のサービスを「営業の非効率をなくすためのもの。我々の競合は他社ではなく、旧来の『紙と手帳』だ」と、熱く、そして誇りを持って語ります。
その姿に、主人公は心を揺さぶられます。
仕事とは、生きていくための「手段」であると同時に、自分が価値を感じるものを提供するという「目的」にもなり得る。
そして、その両方が満たされた時、仕事は「楽しい」ものに変わるのだと気づくのです。
「やりがい」を求める人が、これからの時代を生き抜く
主人公はエージェントである黒岩に「仕事は手段だけなのか?やりがいを追ってはいけないのか?」と問いかけます。
一見「金がすべて」と突き放す黒岩ですが、実は彼自身、強い信念を持って仕事に取り組んでいることが明かされます。
それは「働く人が自分に嘘をつかず、正しいことを正しいと言える環境をつくること」。
これからの時代、嫌々やっている定型的な仕事は、テクノロジーにどんどん奪われていく。
だからこそ、やりがいを感じ、「好き」という気持ちで取り組める人間が、結果的に生き残る確率が高まるのだ、と。
「好きなことを仕事にする」のは、もはや夢物語ではなく、これからの時代を生き抜くための生存戦略なのです。
あなたはどっち?99%の人が知らない「being型」という働き方
ここがこの章、いや、この本全体を通しても屈指の重要ポイントです。
黒岩は言います。「仕事を楽しむ人間は2パターンいる」と。
- to do型(コト重視):「何を成し遂げるか」を考える人。明確な夢や目標を持つ。(全体の1%)
- being型(状態重視):「どんな状態でいたいか」を考える人。(全体の99%)
衝撃じゃないですか?世の中の成功法則は、ほとんどが1%のto do型の人間によって書かれています。
「大きな夢を持て!」というメッセージに、「自分にはそんなのない…」と落ち込んでいた人も多いはず。
でも、黒岩は断言します。
「99%のbeing型の人間にとって、心からやりたいことなんて必要ない。むしろ必要なのは、心から楽しめる『状態』なんだ」と。
being型が仕事を楽しむための「2つの条件」
では、その「楽しめる状態」とはどうやって作るのか?
黒岩は、RPGに例えて説明します。
- 自分の状態:主人公は適切に強く、信頼できるか?
- 強さ=マーケットバリュー(市場価値):そもそも主人公が弱すぎたらゲームはつまらない。どこでも戦える強さが必要です。
- 信頼=自分に嘘をつかない:いくら強くても、自分が心から価値がないと思うものを売るなど、自分に嘘をついていたら、主人公(自分)を好きになれない。ゲームは楽しめません。
- 環境の状態:緊張と緩和のバランスは心地よいか?
- 仕事には、適度な「いい緊張(社外に向けた挑戦など)」と「緩和」が必要です。
ザコばかりでも、ボスばかりでもゲームはつまらないのと同じ。
社内政治のような「悪い緊張」ばかりの職場は、ゲーム(環境)を変えるべきサインです。
- 仕事には、適度な「いい緊張(社外に向けた挑戦など)」と「緩和」が必要です。
「好きなこと」の見つけ方と「ラベル」という武器
「そうは言っても、好きなことが分からない」という主人公に、黒岩は2つのヒントを与えます。
- 他人から褒められるけど、自分ではピンとこないこと
- 仕事の中で、まったくストレスを感じない作業
これらは、あなたにとって自然すぎて気づいていない「好き」の種です。
そして、その種を見つけたら、自分だけの「ラベル(キャッチコピー)」を貼れ、と黒岩は言います。
「新規開拓の鬼」「プロジェクトのリスク掃除人」…なんでもいい。
理想でも構わない。そのラベルを自分に貼り、「そのラベルがより強固になるか?」という判断軸で仕事を選ぶ。
そうすることで、替えのきかない存在へと成長していくのです。
読んでみた感想
今回衝撃を受けたのは、やはり「being型」という考え方でした。
ずっと心のどこかで、「自分には、世界を変えるようなデカい目標なんてないな…」と、一種のコンプレックスを感じていました。
周りのキラキラした人たちを見ては、「それに比べて自分は…」と落ち込むこともありました。
特にSNSは要注意ですね、他人と比較してしまう典型的なそれです。
でも、「それでいいんだ」と。
99%の人間は、明確な「やりたいこと」よりも、「どんな状態でいたいか」を大切にする「being型」なんだと知って、ものすごく肩の荷が下りました。
無理にto do型の人間の真似をする必要なんてなかったんです。
僕らが本当に向き合うべきは、「何者かになること」ではなく、「どんな自分で、どんな環境に身を置けば、ご機嫌に働けるか?」という問いだったんですね。
特に「自分に嘘をつかないこと」という部分は、胸にグサリと刺さりました。
心の中では「この商品、本当にお客様のためになるのかな…」自信が持てない中笑顔で営業する、そんなことありませんか?
給料はもらえても、魂はすり減っていく。まさに「自分を好きになれないゲーム」をプレイしていたんだなと、今なら分かります。
「自分には何の取り柄もない」と感じていても、「そういえば、資料作りはストレスなくできるな…」とか、「後輩に教えるのは好きかも」といった小さなことから、「丁寧な資料作りのサポーター」みたいなラベルを仮で貼ってみる。
そうすると不思議なもので、そのラベルを意識して行動するようになるんです。
自分のキャリアに、自分で意味と方向性を与えられる。
これは、キャリアに迷うすべての人にとって、今日から実践できる、ものすごくパワフルな武器だと感じました。
この本は、ただ「転職しようぜ!」と煽る本ではありません。
自分のキャリアの主導権を、会社や他人から自分の手に取り戻すための「思考法」を教えてくれる、人生の指南書です。
本日のまとめ
さて、本日の内容をギュッとまとめます。
- 仕事の楽しさは「目的」と「手段」の両立から生まれる。
- これからの時代、「好き」を仕事にすることは生存戦略になる。
- あなたはどっち?ほとんどの人は「どんな状態でいたいか」を重視する「being型」。
- being型が仕事を楽しむ条件は「自分(市場価値+自分への信頼)」と「環境(緊張と緩和のバランス)」を整えること。
- 「好きなこと」は日常に隠れている。見つけたら「ラベル」を貼り、それを育てるキャリアを選ぼう。
「仕事は辛くて当たり前」なんて、誰が決めたんでしょうか?
もしあなたが今、仕事の楽しさを見失い、やりがい迷子になっているなら、それはあなたの能力が低いからではありません。
ただ、「思考法」を知らなかっただけなのかもしれません。
転職は、怖いものでも、逃げでもありません。
自分らしい人生をデザインするための、最強のカードです。
この『転職の思考法』を読めば、漠然としていたキャリアへの不安が、ワクワクするような「次の一歩」に変わるはず。ぜひ、手に取ってみてください。

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